どうなるジャパンディスプレイ?臨時株主総会レポ

投稿者: KEN COACH 投稿日:

 今年6月に772億円の債務超過に陥るなど、経営再建に向けて困難な道のりを歩んでいるジャパンディスプレイ(証券コード:6740、JDI)ですが、昨日非常に衝撃的なニュースが飛び込んできました。金融支援を検討していた中国ファンド、ハーベスト・テックが出資を中止することを決定したというのです(ブルームバーグの記事)。

なんと、この通知は当の支援を受ける旨を決議する予定だった臨時株主総会の前日に行われたのです。

 支援総額は800億円の予定でしたが、そのうちなんと500億円の拠出を予定していたハーベスト・テックの中断です。その理由は「ガバナンスに対する考え方における重要な見解の不一致」とのことです(出典:https://www.j-display.com/ir/stockinfo/pdf/190927_briefing.pdf)。

 残額は300億円ですが、これについてはなんとか調達できる見込みはあるようです。ブルームバーグの記事には次のように書かれています(強調引用者)。

香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントの1.5億(約160億円)-1.8億ドルの出資は、現時点では予定通り行われる予定。また最大顧客のアップルが、出資額を従来の1億ドルから2億ドルに増加するほか、取引に伴う支払条件を緩和する意向を示している。菊岡常務によれば、さらに有力サプライヤーから5000億ドルの調達が見込めるため、最大4.3億ドルを調達する予定という。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-09-26/PYFDL6T0G1KY01?srnd=cojp-v2

この臨時株主総会への招集通知には、議決権行使へのお願いも付されていました(JDIのホームページから閲覧することができます)。お願いには次のように記載されています。

本総会において必要な議案が承認されなかった場合には、当社は持続的な事業運営に不可欠な長期安定資金を得ることができず、また今後の資金繰りが悪化することで 事業継続が困難となる可能性がありますことを以下にご説明申し上げます。

https://www.j-display.com/ir/stockinfo/pdf/190927_briefing.pdf

 通常株主が議決権を行使するのは当たり前なので、このような依頼の書面が出されることは極めて異例ですが、それくらい切迫した状況にあるということです。

 ※なお筆者はアップルが何らかの形でJDIを救済するのではないかというふうに以前より考えています(個人の見解です)。その理由については2019年7月12日の記事「アップルはジャパンディスプレイを救うのか」をご覧ください。その当時から私はアップルが支援額を1億ドルよりも増額するということを予測していましたが、予測が当たった形になりました。

このようにアップルとJDIは有機ELと車載向け、また指紋認証ディスプレイという点で非常に利害関係が一致しており、ひょっとするとAppleは1億ドル以上の資金でもって資本参加することになるのではないかというふうに私は考えている。

2019年7月12日付「アップルはジャパンディスプレイを救うのか

株主総会レポート

 以下、2019年9月27日午前10時から開催された臨時株主総会の様子をレポートします。

9:57 経営陣が一人一人入場。

10:00 総会が開始される。議長たる代表取締役社長の月崎氏が開会を宣言。今総会においては執行役員が参加していることを述べる。

まず定足数の充足が報告され、【議案の上程に至った経緯】菊岡常務執行役員・CFOが説明。
 増資の背景と目的が説明される。それは事業環境の急速な変化及び財務状況の急速な悪化。

【Suwaとの資本業務提携、INCJによる継続支援について】


資本性資金の注入、Harvest TechとのOLED業務提携、INCJによる既存債務のリファイナンス。

Suwa Investment HDはケイマン諸島に設立されたLLC(有限責任会社)。
Harvest Tech(中国)とOasis(香港)が出資する持株会社であり、JDIの新規発行株式等を引き受ける。

【Suwaからの資金注入計画】


・1stクロージング
普通株式で420億円
第二回新株予約権付社債80〜180億円
・2ndクロージング
第三回新株予約権付社債200~300億円
➡️第二号議案で承認が必要

【使途、調達資金の内訳は】


運転資金380億円、INCJへの返済にも充てる
研究開発92億円(蒸着OLED開発50億円、VR開発42億円)
設備投資320億円(OLED量産化100億円、車載量産化に100億円ほか)

【INCJによるリファイナンス】


JOLED株式による代物弁済が約463億円分を返済するなどしています。

【INCJへのA種優先株式の発行】


1,020億円調達
10.2億株(A種優先株式)の発行による


【新経営体制】


・財務基盤の強化
・モバイル事業の分社化
・構造改革とSuwaとの提携の同時完遂

【Harvest Tech通知】


➡️出資予定社から離脱する旨の通知
当社顧客より取引の支払条件の緩和、出資がない場合には2億ドルの出資を行う意図を示す通知を受領(2019年12月末までに4億5,000万ドルの資金調達を完了させることなどが条件)(つまり、追加で約250億円)

【議案の上程】


第1号議案 第2号、第3号議案を可能とするための定款変更案
①発行可能株式総数の増加
②A種優先株式に関する規定、種類株主総会に関する規定の追加

第2号議案
大規模な資本性資金の注入のため
①Suwaに対する第三者割当による「普通株式」、「第2,第3回新株予約権付社債の発行」
②第二回第三回新株予約権付社債の発行に関する決定を取締役会に委任すること
・第三者割当の条件
「各国の当局の許認可等」「1〜3号議案の承認」「当社主要顧客から購入中止または購入量の大幅な削減」の決定または検討に関する通知を受けていないこと
・中国当局からの介入がないこと等

第三者割当により大幅に希薄化し有利発行が行われる
➡️株式価値算定書、フェアネス・オピニオンを取得、独立社外取締役から必要かつ相当である旨の意見書を取得

第3号議案
INCJに対する第三者割当によるA種優先株式の発行は有利発行ではないが、
特別決議による承認を得ることが発行条件とされている
独立社外取締役から必要かつ相当である旨の意見書を取得

第4号議案
取締役2名選任の件。

 続いて議案の採決に移る前の質疑応答です。なお、質問者が特定できないように、記載の順番と実際の質問の順番は異なるようにしてあり、一部の質問は省略しております。

 全体では15人が質問していました。IPOで購入した株主も多いようで、株価が10分の1以下(売出価格は900円、現在は60円)になったことに対しての怒りをぶつける質問もありました。

経営陣は全員辞任し、報酬を100%返上すべきだ。
真摯に受け止めていきたい。
私は大損を被った。何千万も被害を被ったのだからせめてIPOの価格には持って行くと言って欲しい。経営陣が株を持っていないから人ごとだ。意気込みを語ってほしい。
CFOは入社してから財務責任者として業務執行に関与しており、インサイダー情報を持っているので購入ができない立場にあることを理解してほしい。
日韓関係の影響で、ジャパンディスプレイにとってもチャンスなのではないか。OLEDの量産化のスケジュールは。
蒸着方式OLEDはテレビ向けではない。JDIのはモバイル用のOLEDであり、製造方法などが異なる。
 量産化に関しては客も絡むので明言できないものの、来月中には量産OLEDが出荷する方向で調整中である。
短期の対処ではなく、長期的な展望をきかせてほしい。
➡️OLEDへの取り組み、薄膜形成技術を使ったアプリケーションへの取り組みによる新規市場の創造に取り組んでいる。この分野は高度な技術が必要であり他社の参入が難しいため、この分野の市場に取り組んでいく。
 ➡️OLEDは量産化スタートしている。
  ディスプレイ業界では多くのプレーヤーが苦しんでいる中、車載ディスプレイ市場は今後大きくなっていく。VR、ARに関しても当社のディスプレイが採用されつつある。
 センサー(指紋センサー、バイタルセンサー)などを薄膜技術で搭載したディスプレイを開発している。
 ➡️ボタンからセンサーに変わっていく、広範囲において指紋認証が可能なところで技術上の優位性があるので、これを実現していくためにも資本性資金を調達し財務基盤を安定させていく必要がある。

 以上の質疑応答を経て、12:08に議案はすべて可決され、総会が閉会されました。

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