今週のピックアップニュース 2019年10月4日〜11日

投稿者: KEN COACH 投稿日:

 今週Twitterで紹介していたニュース記事とそれに関するコメントをまとめています。

2019年10月4日

 今週はWeWorkの問題で持ちきりだったような印象です。記事では野村HDがソフトバンクの第2弾ファンドへの出資見送りを決めるなど、WeWorkの出資者であるソフトバンクグループへの影響が報じられています。

 Reuterの記事によれば、WeWorkのバリュエーションは1月には470億ドル(約5兆円)とされていたのに、IPOに失敗した今となっては100億〜120億ドル(約1兆円)と5分の1程度にまで下落してしまっているようです。

2019年10月5日

 10月5日にはPayPayで障害が発生していました。この記事を書いている10月12日未明には大型の台風19号による首都圏の停電が懸念されており、手元に現金をある程度持っておくことが災害対策として推奨されています。

 すべてをキャッシュレス化することのリスクも考えなければならないのかもしれません。

 一方こちらはPayPayではなくPayPalが、Facebookの暗号通貨であるLibraのコンソーシアムから撤退することを表明したというニュース。決済自体はVISAやMasterCardといったカード会社が行っていても、ウェブサイトとシステムを接続するインターフェイスはPayPalがメインプレイヤーです。そこが抜けてしまうとLibraの実現には大きな打撃だと言えるでしょう。

 そして経営再建中で債務超過のジャパンディスプレイの有機EL量産化に関するインタビュー記事。当サイトでもジャパンディスプレイの臨時株主総会レポなどを掲載しましたが、どうなることでしょうか。個人的にはAppleが出資し救済するというシナリオはまだ有効だと考えていますが。

2019年10月7日

 Appleの最新OSに搭載されている「Sign in with Apple」の機能が、Blixという企業に提訴されたというニュース。この「Sign in with Apple」はApple IDで他のWebサービスにログインすることが可能となるという機能です。

 登録の際に本来のアドレスの代わりとなるプロキシアドレスが生成され、本来のアドレスは隠されるわけですが、その機能がBlix社の特許を侵害しているという主張のようです。

 今年の3月には、SpotifyがAppleをEUに提訴するなど、Apple Musicを推進したいAppleとそれに真っ向から競合するSpotifyの対立が深まった状況でしたが、最終的にiOS13の公開とともにSiriでSporifyを操作することが可能となったようです。

 ロイターや9to5macでも、Appleが出資する分も含めジャパンディスプレイが資金調達を完了させるつもりであると報じられています。9to5macはApple製品に関する最新情報に特化しているだけあって、Appleの側の事情に力点を置いて記事が書かれています。私が7月の記事で言及しているのとほぼ同じ旨で、「調達コストを下げたい」ということに尽きると思います。

2019年10月8日

 最新のmacOSであるOS Catalinaは10月中には公開という見込みでしたが、いつなのかは謎でした。日本時間の10月8日未明、ひっそりと公開されていたので、早速インストールしてみたという顛末記です。目玉はなんといってもiPadをサブディスプレイ化できるSidecarで、この記事もSidecarを活用しながら執筆しています。

 日経スタイルというWebサイトで就職先や転職先におけるNGな行動として指摘されている内容が時代遅れでどうしようもなく、停滞する日本を象徴するようだという内容の記事です。

 ようは「就職先の仕事のやり方を批判するな」ということが日経スタイルの元記事の主張骨子のようで、それはそれで一理あります。しかし、アメリカはもとより中国にもGDPで抜かれ、長年GDPは横ばい、未だに紙とハンコの文化が根強く残る日本の職場において必要なのは、進んで新しいやり方に代えて効率化していくという姿勢でしょう。未だに昭和のムラ社会的にそれまでのやり方を振りかざすことには「成長への意志が徹底的に欠けている」と著者の冷泉氏は指摘しています。

 私もそうだと思います。日本企業は効率性や利便性といったものを敵視さえしているのではないかと思うことがときどき、いや頻繁にあります。デジタル化を進めないことは、核戦争が起こって電磁パルス攻撃を受け、あらゆる電子機器が使えなくなっても事業を継続するためのBCP(事業継続計画)に基づく戦略であるというならばまだ納得がいきます。しかし実態はどうもそうではないようで、真実は藪の中であります。

2019年10月9日

 グローバル企業に対する課税の新たな枠組み案が公表されました。旧来国家が多国籍企業に課税する根拠としては、Permanent Establishment(PE)、つまり「恒久的施設」がその国家の領土内に存在するということが不可欠でした。本社がアメリカにあり、日本で活動している会社の場合、日本に恒久的施設に該当する施設がないかぎり、日本がその企業に対して課税をすることができませんでした。

 しかし、ネットを通じて他国の領土内に「恒久的施設」を持たなくてもビジネスを展開することが可能となってしまった現代では、その考え方だと国家が企業から税金を徴収できなくなってしまいます。そこで今回公表された新たな枠組みでは、他国の領土内に恒久的施設を持っているかどうかではなく、その企業のサービスを受ける消費者がいる国が課税することを許可しよう、という枠組みになるようで、実現すれば国際的課税のルールの大転換となります。

 「Appleは今後ハードウェアを売る会社からソフトやコンテンツ、サブスクリプションで稼ぐ会社になっていく」ということは私もたびたび指摘していることですが、そのコンテンツの一つがiOS13で導入された「Arcade」です。

 そのArcadeを広めるために、なんとMicrosoft XboxのコントローラーがAppleのオンラインストアで販売されるようになってしまったという記事です。Arcadeを普及させたいのはわかるけどそれは・・・というような感想を持ちました。

 私もとうとう「ジョブズが生きてたらおじさん」になってしまったという感慨もありますが、iPhone11のデザインといい、そう言わざるを得ないような状態です。Appleはどうなってしまうのでしょうか。とりあえずジャパンディスプレイさえ救済してくれればあとは言うことはありませんが。

 2019年10月10日

 もともとはこの日が「体育の日」だったわけですが、三連休を増やすという国策のために第2月曜日(今年は10月14日)が体育の日ということになってしまいました。「国策に売りなし」とはいえ、このような政策から利益を得ることはなかなか難しいものです。

 インド初のホテルチェーン・OYOの創業者、リテシュ・アガルワル氏が、ライトスピード、セコイア両社が保有する株式の一部を買い取るとの記事です。その資金をファイナンスしているのがみずほフィナンシャルグループと野村HDだと記事は伝えています。

 ライトスピードとセコイアから取得する株式の総額は約1600億円(約15億ドル)で、アガルワル氏が7億ドル、ソフトバンクビジョンファンドが8億ドルを拠出するとのことで、OYOの時価総額は100億ドルになる、とのことです。

 WeWorkは「入居者たちが自由活発に交流し、そこからイノベーションが生まれる」という夢を描いていましたが、実態はやや異なるようであった、という取材記事です。記事には次のように書かれています。

入居していた大企業の多くがサテライトオフィスとしてWeWorkを使っており、ビジネス上の権限がない担当者も多かったため、「イベントをやってもそれが実際の事業連携につながっていたかは疑問だ」という。

 少し前に、シリコンバレーにおいて日本企業の意思決定が遅すぎて話にならない、意思決定の権限を持たない奴ばかり送り込まれて他社が迷惑しているということが話題になっていましたが、この記事の該当箇所を読む限り、日本のWeWorkオフィスではその状況がそのまま輸入されただけだったようです。もちろん実際にビジネスが進展した事例もあるのでしょうが、見知らぬ日本人同士が集まってもそもそもあまり交流しないでしょうし、交流してもほぼ表面的な世間話で終わる、というのが日本で生まれ日本で育った私の感触ですがどうなんでしょう。日本企業で活発に交流・意見交換を行ういわゆる「ワイガヤ」は、あくまでも同じ組織に属している日本人同士でしか成立しないと思います。

 ・・・と書いて、ふと「ワイガヤ」を調べてみると、コトバンクの記述にいみじくも次のように書かれておりました。

立場の相違にかかわらず同じ組織に属する者たちが気軽に「ワイワイガヤガヤ」と話し合うこと。本田技研工業株式会社が提唱した言葉で、仕事・プライベートのどちらでもない職場での多人数による会話のことを指す。

https://kotobank.jp/word/ワイガヤ-1705304、ボールドは引用者による

 はっきりと「同じ組織に属する者たちが」と書かれています。この項目の執筆者がどれくらいこの箇所に力点を置いて書いたのかは不明ですが、実際極めてクリティカルな重要性をもつ要素なのではないかと思います。Business Insiderの記事で紹介されているWeWorkの日本における状況は、日本人の文化的特性を改めて明らかにしたという意味では意義があったのではないでしょうか。

 以上、10月4日の週のピックアップニュースでした。

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