
ジョージ・ソロスが、中国の体制変革を呼びかけるスピーチを行った。スピーチの中でソロスは、中国を「世界で最も権威主義的な国家」と呼び、まもなく開催される2022年北京オリンピックを1936年のナチスドイツ体制下で開催されたオリンピックになぞらえ、「習近平は鄧小平の業績を破壊するために最善を尽くしてきた」「毛沢東とレーニンが彼のアイドルだ」など、痛烈に習近平を批難している。さらに「習近平が国内的にはより抑圧的でなく、国外的にはより平和的な誰かによって置き換えられなければならない」とまで言明した。
ソロスは1930年、ハンガリーのブタペストに生まれたハンガリー系ユダヤ人で、ジム・ロジャースと創設したクオンタム・ファンドや、ポンドの空売りで「イングランド銀行を潰した男」として有名だ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で教育を受け、オープン・ソサエティ財団を設立、ディープ・ステートの重鎮としても知られている。
フェビアン主義のLSE
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスは1894年、シドニー・ウェッブ、ビアトリス・ポッター・ウェッブ夫妻とジョージ・バーナード・ショー、グレアム・ウォーラスの4人が設立した。ウェッブ夫妻は1884年にフェビアン協会を創設したメンバーとしても知られているが、このフェビアン協会の特色は当時暴力革命を志向していた主流派マルクス主義に対して、漸進的な社会改革によって共産主義に到達しようとするフェビアニズムである。そしてその手法として用いられたのが世論形成であり、社会の要職に就くものに選択的に教育=洗脳を施すことによってそれを実現しようとした。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスもその主義に基づいて設立されたものだ。
オープン・ソサエティ財団
ソロスはオープン・ソサエティ財団に320億ドル以上を投じていることが、財団の公式ページにも書かれている。

このオープン・ソサエティ財団が資金援助しているのが、東欧のカラー革命やBLM、アンティファなどだ。たとえばBLMについては、ニューヨークタイムズも次のように報じている。
The Open Society Foundations, the philanthropic group founded by the business magnate George Soros, announced on Monday that it was investing $220 million in efforts to achieve racial equality in America, a huge financial undertaking that will support several Black-led racial justice groups for years to come.
https://www.nytimes.com/2020/07/13/us/politics/george-soros-racial-justice-organizations.html
George Soros’s Foundation Pours $220 Million Into Racial Equality Push
このような運動は自発的に起こってきたものではなく、国家体制の転覆を目論み新世界秩序を確立しようとするディープステートの一員であるオープン・ソサエティ財団が資金援助することで引き起こされたものだ。
ディープステートの内輪揉めが始まろうとしている?
習近平はダボス会議に参加しているメンバーであり、ディープステートの一員として活動していた。しかし、最近の中国共産党はグローバリズムに反抗する動きを次々に打ち出している。恒大集団のドル建て債権者を切り捨てているのもそうだし、それ以外にも中国国内の工場や不動産、資産やデータなどあらゆるものを国有化することを目指している。習近平はこれまではグローバリストの戦略に乗ってきたが、「このままではヤバい」と感じてそこから無理矢理抜け出そうとしている感じがする。ディープステートの策略から脱却するためにいろいろ手を打っている、と考えるとここ数年の中国の不可解な動きが理解できる気がする。その流れの延長で、ソロスが習近平を罵倒する声明を出している。つまり、世界各地のディープステート勢力に「習近平を潰せ」とゴーサインをかけているのだ。
北京オリンピックは荒れる
こうした流れからすると、北京オリンピックの最中に中国で何かしらの体制変革的な動きが出てくることが予測される。三峡ダムが決壊させられたり、原発事故が起こったりするはずだ。あるいはウイグル族の独立運動が激烈なものになるかもしれない。不動産バブルは崩壊しハードランディングするだろう。あるいは大規模なサイバー攻撃が起こり、それが中国のせいにされるかもしれない。いずれにしても、実体よりも中国を極悪非道に印象づける主流派メディアの報道が増えていくだろう。むろん中国を擁護するつもりはないが、それらに躍らされてただ中国を憎悪するのではなく、なぜそのような報道がされているのかを見ていくことが必要だ。
世界経済はグローバル化・金融化から急激な巻き戻しが起こりつつあり、アメリカの金融システムの崩壊や中国の鎖国はほぼ確定路線のようである。短〜中期的には荒れ狂うかもしれないが、その後は各国が独自の経済圏を作る動きになっていくはずで、具体的には中国に進出していた日本企業の工場が日本国内に戻ってきて、国内雇用が復活するという流れになるかもしれない(その前にASEAN諸国に移動するかもしれないが)。日本人、特に若い人は、金融とかITではなく本来日本が得意とする製造業や農林水産業など、リアルなモノを作ったり扱ったりする産業や実業に回帰する準備をしたほうがいいだろう。あとはロシア語を勉強するとか(笑)。