この記事は社説というかコラムというか、普段のニュース解説記事とは異なるエッセイ的なものです。

 今朝、普段使っているMacBook Proが急に壊れた。こう書くと本当にPCの素人っぽくてイヤなのだが、実際不具合が起こると確かに「急に壊れた」という他ない。いろいろなアプリケーションを立ち上げて、グーグルchromeのタブを30個ぐらい開きながら記事を読んだり書いたりしている状態をしばらく続けていてさすがに動作がもっさりしてきたため、一旦再起動したのが命運の尽きだった。

 再起動してChromeを開き、検索窓に入力しようとするとアルファベットしか入力できなくなっている。右上の入力モードの欄はたしかに「ひらがな(ATOK)」と表示されている(私はMacにATOKを入れて使っている)のに、キーボードを打つとアルファベットにしかならないのである。何度か再起動してみたり、入力メソッドの設定の仕方をもう一台のMacBook Airを使って調べたりして処置をしてみるのだがまったく改善しない。

 というわけで、ATOK自体をアンインストールして入れ直すことにしてみた。ところがこれがまた泥沼で、私がMacにインストールしていたのはATOK 2017という少し古いバージョンの買い切りライセンスだったのだが、現行のATOKはATOK Passportとかいうサブスクリプション型のものになってしまっていた。それに気づかず最新版のATOKをインストールしてしまったので、古いライセンスのシリアルナンバーやアカウントが使えない(挙げ句の果てに金を払えと表示される)。最新版のATOKをアンインストールして、古いATOK 2017のほうをインストールし、シリアルナンバーを入れてアクティベートする。

 これで改善するかと思いきや、やっぱり症状は治まらない。私のMacBook Proは日本語が入力できないパソコンになってしまった。厳密にはMacにデフォルトで搭載されている日本語入力メソッドは活きているが、これはほとんど実用に耐えない。仕方ないから英語で文章を書く専用のパソコンとして使っていくか・・・と思っていた矢先、今度はネットにつながらなくなった。

 ネットにつながらないというのも泥沼である。昨今サイバー攻撃が多発している折柄、とうとう一般人のネット回線も被害にあっているのかと思いきや別のパソコンやタブレットは問題なくネットにつながっている。またしてもMacBook Proを再起動し、ネットワーク診断を走らせ、別のルーターにつないでみたり有線でつないでみたりしても、一向にネットにつながらない。Wi-Fiのアクセスポイントには接続できているが、そこから先のインターネットに出られない状態になっているらしい。他の端末はネット閲覧できているのでルーターの不具合ではない。もうこうなるとお手上げである。なまじ他にもパソコンがありそちらは活きているだけに、それ以上深く原因を探索する気が起きない。

 さらに最終的に、「バッテリーが劣化しています」という警告が出た。日本語入力もできずネットにもつながらないくせにバッテリーもクソもないのだが、確かに最近充電に関しても微妙な不具合が続いていた。純正のアダプタで充電できず、Ankerのアダプタにつなぎ替えないとMacBook Proを使いながら充電できなくなっていた。本体だけでウン十万もした上にATOKなどカスタマイズでさらに高いカネを払っていたのに、もはやApple Careの期限も切れ、ロクに対応しないカスタマーサポートに修理を依頼する気力も尽き果てた。

 というのも、4万で買ったシャオミのタブレットと、6万くらいでパーツを買って自分で組み立てたPCのほうが、インストールされているLINUXベースのOSのおかげで圧倒的に動作が軽快で、文字やUIなどの見た目もよく目に優しいからである。Macは(Windowsもだけど)画面を起動するたびにアップデートアップデートアップデートで一日が終わり、クソなポップアップと個人情報をどこかのサーバーに送る処理でネット閲覧もファイルの読み込みも遅く、何のためにカネを払っているのかもはや分からない。

 私は一時期極めて重篤なデジタル病に罹っており、あらゆるサブスクサービスやPC、スマホ、タブレットを病的に買い漁っていた時期があった。やれUIやUXが優れていないとダメだとか、ドキュメントはすべてサーバー上に保管されてリレーショナルデータベース化されていないとダメだとか、スマホでもタブレットでも閲覧・処理できていつでもどこでも仕事が出来るような状態にしなければGAFAに負けてダメだみたいな言説を頭から信じ込んでいたのである。さらにYouTubeをやるに当たっても、動画や画像・サムネイルについて優れたデザインのものを迅速に供給し、じっくり編集した素晴らしい動画をアップロードしなければダメだと。

 断言しよう、全部虚妄だ!

 ロシア・インド経済ニュースチャンネルになって一ヶ月ぐらいだが、パワポのスライドを映したものにナレーションを入れる形式のものでたくさんチャンネル登録も視聴も増えている。考えてみれば当たり前の話で、視聴者が求めているのは、動画やサムネイルがよくできたものであるかどうかではなく、自分にとって有益で他では聞けない情報が提供されるかどうかだ。そしてパソコンとかクラウドサービスにかける金を減らすのに比例して、YouTubeの視聴者やブログ記事の読者が増えている。これは私が動画や記事の見てくれではなく、本質的に有益な情報・日本のメディアではあまり出てこないロシアの報道やオルタナティブメディアの記事の内容といった他で得られない情報を提供することに焦点を合わせるようになったためだろう。

 そしてそうした本質的な情報というのは、すべてテキスト、文字情報でしか手に入らない。動画の場合もあるが、それも結局文字起こしして、動画のナレーション原稿や記事にできる水準まで自分自身で咀嚼しなければ、他人に伝達できるクオリティのものを作る役に立たない。SNS上で流れてくるセンセーショナルな画像や動画はたいていがデマかフェイクだ。そんなものを右から左へ垂れ流しするコンテンツにも何の意味もない。

 だから、パソコンやタブレット、ソフトウェアなんか必要最低限のものでいいのである。LINUXのPCとタブレットで、ブラウジングと情報のクリッピング、テキストの編集は十分すぎるほどできる。そして情報の収集と咀嚼には、テキストベースが最終的には一番効率的だ。デジタルデバイスなんか所詮消耗品である。だからできるだけカネをかけずに、OSもオープンソースで、使いやすい無料のものを自分なりにアレンジして使う。LINUXが最高だ。

 Macの不具合とその後のゴタゴタで疲労困憊して勢いで書いたので酷い文章だが、こういうことをきちんと書き留めて記録しておくのは重要だと思うので、自分の管理するドメインに保管しておく。今日はAdobeのサブスクリプションも解約した。動画コンテンツの時代とかメタバースだとかなんとか、いろいろデタラメなことは言われているが結局のところ重要なのは「文章をちゃんと読み解く」ことなのである。