日々いろいろなとんでもないことが起こり続けていて、情報を集めて咀嚼するだけでも大変な状況になっているのだが、それでも一つの間違いない大きなトレンドはインフレである。インフレということの内容は、表面的には物価の上昇だが、本質的にはマネーの死や、社会に相互不信がはびこり、政府や中央銀行の信認が失墜することである。

 アメリカではインフレを隠蔽するためにあらゆる手段が執られている。「大本営発表」のインフレ率(物価上昇率)は7%ということになっているが、これはあくまでも物価指数の統計に表れてくる数字上の話にすぎない。物価水準の統計の取り方を変えたり、品目別に重み付けをする際のウェイトをいじったりすることによって物価水準を低く見せることはいとも簡単にできる。

 このほかに、企業が物価水準に反映されない実質的な値上げを行う場合がある。日本でいう「ステルス値上げ」で、たとえばこれまでは100gで100円で売っていたパッケージを、100円という価格は据え置いて、パッケージを変更したり上げ底にしたりすることで内容量を75gに減らすような手法だ。この商品が売れた場合の統計上の価格は依然として100円なので、表向き物価は変わっていないように見えるのだが、買っている量は100gから75gに減っているので1円当たりの購買力(モノと交換できる力)は25%も減少している。そして本質的には、この貨幣が買える量が25%減少したことをインフレと言うのである。

 アメリカでもこのステルス値上げが深刻になりつつあり、Shrinkflation(シュリンクフレーション)と呼ばれている。日本ではほとんど馴染みのない製品ばかりなのでイメージはしづらいが、チョコやヨーグルト、洗濯用洗剤や歯磨き粉、コーンフレークなどで、価格はそのままであるものの内容量が10~20%程度減少している事例が多数報告されている。

Shrinkflation reduces size of popular consumer products

 こうしたことから実際のインフレはもっと深刻で、もはやドルは紙くずだと指摘する人もいるほどだ。日本においても状況は似ているだろう。家賃や給料、交通費や保険料などは統制が効いているためさほど上昇しないが、食費、燃料費、サービスのコストは著しく上昇している。コンビニやスーパーでセルフレジが導入され袋詰めを客にやらせるようになっているのも、日本円の購買力が落ちて店が従業員の労働を購入できないからだと考えるべきだ。

 なぜFRBがインフレを隠蔽しているかというと、インフレがばれると金利を上げざるを得なくなるからだ。金利を上げると債券が暴落し、その債券の高い時価を担保に行われていた融資が飛び、それが連鎖反応を起こして大規模な金融危機になる。金融危機になってドルが大暴落すると誰もドルで支払いを受け付けてくれなくなるため、経済活動が大きく停滞する(すでにかなり停滞しているが)。民主党はインフレが隠蔽できなくなってきたので利上げの圧力を強め、パウエル議長も3月に金融引き締めを開始することを宣言したが、どこかで失策があると西側の金融システムがまるごと崩壊しかねない。次の大統領がトランプになるシナリオだとすると、2月21日にトランプ氏の運営するTruth SocialというSNSが稼働し始めるため、そこで反民主党の機運を最大限高めてからダメ押し的に金融崩壊させる、という筋書きが考えられる。そうすると暴落は3月か4月くらい?だろうか。

 いずれにしても金融は崩壊し、民主党は大敗して下手するとアメリカは内戦になるかもしれない。すでにワクチン義務化に反対するデモと警察隊の衝突が欧米各国で発生している。西側のマスコミはロシアのウクライナ侵攻の脅威を煽りまくり、核戦争になるぞと脅して目くらましを画策し、ロシアに少なくとも経済制裁くらいはしたいと思っているようだが、経済制裁として決済システムのSWIFTからロシアを排除するとドイツなどEU諸国がロシアに金を払えなくなり、天然ガスを買えなくなる。アメリカ政府はロシアの影響がない天然ガスルートを確保するようガス企業に命じたが、もはやそんなルートはなく天然ガスはロシアに抑えられていると断られてしまったらしい。天然ガスとそれを運ぶパイプラインでEUを人質に取ったロシア側の圧勝だ。ウクライナで、カザフスタン暴動に似たでっちあげの小競り合いくらいは起こるかもしれないが、戦争には絶対にならないだろう。ただただ原油が上がってロシア経済が活況になり、それ以外の国でスタグフレーションが酷くなる。