こんにちは。KENさんです。今回はインドの新聞、タイムズオブインディアから、ゴールド価格に関する分析記事の翻訳です。
インドにはアクシャヤ・トリティヤという、「その日に買った資産は価値が減らない」という夢のような日があるようで、今年のアクシャヤ・トリティヤに向けてゴールド価格が下がっていることを受けての記事のようです。
中国、インドは世界の2大金需要国で、おそらく2021年のデータだと思いますが、こちらのサイトによれば消費量は中国が900トン、インドが850トンで、3位のアメリカは180トンくらいとかなり少なくなっています。金はジュエリーなんかに使用しても鋳潰して何度でも再利用できるので、二重三重に計上されている部分も大きいでしょうけど、それにしても圧倒的です。ちなみに人口一人当たりではドイツとスイスが突出しているようです。
世界はコモディティをベースにしたブレトンウッズ3体制に向かっているので、投資するならなんらかのコモディティを扱う会社の株(商社株、採掘関連株)、コモディティETFなどでしょう。なかでも現物そのものを手に入れることができるのは貴金属か食品くらいのものです。ガソリンとか原油は現物を買って置いておくわけにもいきませんから。やろうと思ったら、ガソリンスタンドのフランチャイジーになるとか(笑)。

記事はここからです。

https://timesofindia.indiatimes.com/business/india-business/why-gold-prices-have-cooled-just-before-akshaya-tritiya/articleshow/91279611.cms

なぜアクシャヤ・トリティヤのちょうど前にゴールド価格は冷え込んでいるのか_2022年5月3日/タイムズオブインディア

アクシャヤ・トリティアの日、今年は5月3日に当たるが、その日に買った資産は「アクシャヤ」である、つまり価値が破壊されたり減耗したりしないとしてめでたい日だと信じられている。この素晴らしい考えが、この日にインド人たちに大量のゴールドを買わせている。そしてこのインドでもっとも好まれる貴金属の価格は、アクシャヤ・トリティヤの日に向けて急激に下落している。純金(24K)の現物価格はアーメダバード(訳注・インド西部、グジャラート州の都市)で、この3週間で5%以上下落し、5月2日の終値で10グラムあたり51,000ルピーを少し上回るくらいだった。2020年8月7日につけた高値から10%以上も下落している。六ヶ月満期の金先物も、MCE商品取引所でアクシャヤ・トリティヤの前日に0.88%下落した。なぜ需要増が期待されるタイミングで、最大の市場のうちの一つで貴金属の価格は冴えないのだろうか。

2022年初期には、価格上昇があった
ゴールドの需要は四種類の買い手による。投資目的で買う者、ジュエリーとして買う者、テクノロジー企業、そして中央銀行である。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻が2021年のパンデミックののちに起こった際、ジュエリーバイヤーと並んで最大の需要者である投資家は、苦難の時期の避難所として考えられているゴールドに殺到した。インド人のETF、つまり現物の金価格をなぞるように設計された上場投資信託への投資額は、2021年に27%増加した。インド準備銀行の2022年2月の発表では、インドは同月、ロックダウンが始まる前の2020年2月に購入した時価総額の2倍に相当する金を購入した。世界的な需要も2022年の第一四半期におよそ前年比で34%増加し、供給量の増加の4%を大幅に上回っているとワールド・ゴールド・カウンシルが先週明らかにした。世界全体のETFによる保有量は、最初の四半期で269トンに跳ね上がった(訳注:参考までに、世界のこれまでの累計産出量は18万トンと推計されており、年間の生産高では中国が450トン、オーストラリアが274トン、ロシアが247トンと言われています)。

インドにおける価格は今年の初めから3月8日までにアーメダバードで10%以上上昇した。その後、先行き不安が見通しを曇らせ、金の輝きはすり減っている。いくつかの足手まといが今年の初めにすでに観察することができた。第一四半期のジュエリー需要は7%低く、ほとんどの需要減退は最大のバイヤーである中国とインドが原因である。インドのジュエリー市場は四半期で急落した。ワールド・ゴールド・カウンシルはこの二つの市場を除けば、残りの世界におけるジュエリー需要は2022年の1月から3月にかけて7%上昇していた。2021年に世界のゴールドジュエリーの3分の1を購入した中国における問題は、2022年3月に始まった。価格騰貴の傾向が見られたのち、コロナ症例の再増加を食い止めるために大都市において厳格なロックダウンを課しはじめてから、実質的に需要はストップした。

中国におけるバー及びコインに対する需要も下落し、これらへの投資需要の5分の1を吹き飛ばした。テクノロジー企業からの需要は、主にエレクトロニクスと通信分野だが、ほとんど現状維持である。供給面では、世界はゴールドの世界産出量のほぼ10分の1を生み出しているロシアに慎重な目を注いでいる。戦況の変化、対ロシア制裁、中国の弱い需要など、インフレをもたらす原油価格の見通しの変化が激しい状態が続いており、ゴールド価格は3月中旬から4月中旬にかけて大きく変動している。

その他の心配も迫りつつある。2月、世界で最も影響力のある中央銀行(訳注:FRBのこと)が急激な利上げによって高いインフレ率と戦うことを明確に打ち出し始めた。インド準備銀行も6月にも利上げに動くと見られている。すべての視線はFRBに注がれており、5月4日に終了する理事会では世界最大の経済において金利を引き上げることが予想されている。3月には40年ぶりの8%という高いインフレ率をつけたあとややインフレは収まりつつあるとはいえ、FRBはパンデミック期間に供給したイージー・マネーから米国を離乳させようとしている。そしてこの利上げはゴールド価格にとって現在もっともおそるべき不安の種なのである。

世界価格とローカルな不安
しかしながら、専門家によればインドにおけるゴールドとインフレの関係は近年変化してきているという。ゴールドのインフレ対策という伝統的な役割は10年ほど前に比べてもさほど強くない。国内の金価格は現在、世界市場における価格と米ドル・ルピーの為替レートによって決まり、国内の消費者物価のインフレ率はあまり関係がない。為替レートは、ゴールドの最大の取引参加者の一つである中央銀行にとっても、今そこにある不安だ。4月の初めにインド準備銀行の金融政策委員会は記した:「新興国経済にとっての外貨建債務のコストは上昇しており、その一方で為替レートをテコ入れするために外貨準備の引出を余儀なくされている」。ドル高はいくつかの国に、為替レートを調整するためにゴールドを売却する(訳注:自国通貨を買い支えるか、対外債務の支払のためにゴールドを売ってドルを手に入れる)ことを強いるだろう。2022年の第一四半期に世界の中央銀行は84トンのゴールドを買ったが、これは前年同期比で30%も少ない。2021年から2022年にかけてインド準備銀行の金準備は増えたが、インド、エジプト、トルコによる購入はカザフスタンやウズベキスタン、カタールによる大量の売却によって相殺された。貧しい国における債務及び為替レート、豊かな国における金利の心配は2022年を通じて存在し続けるだろうことを考えると、今年を通じて金価格の引き下げ圧力は現実的であり続けるだろう。

では、あなたは金を買うべきか?

今日答えを探す者は、過去の長期的な観察から教訓を得ることできるだろう。世界は2010年にも、似たような浮き沈みに悩まされていた。当時インフレはいわゆる2000年代後半の大恐慌から脱しつつあるいくつかの国で問題となっていた。では、2010年の初めに100ルピーをSENSEXとゴールドに投資していたら、どれほどのリターンを生んでいただろうか?下のプロットは、月次及び四半期次の平均で調整されているが、SENSEXの最近の急騰が同期間において株式よりもゴールドが若干高いリターンを生み出していたことを示している。チャートが示すとおり、期間をどのようにとるかによって結果は大きく変わってくるだろう。だから今年のアクシャヤ・トリティヤの日に、マーケットや資産はそれ自体が「アクシャヤ」つまり価値が減らないというようなものではなく、それらをどのような時間軸で考えるのかということが問題だということを気に留めておくべきだろう。

記事はここまでです。
個人的な見通しとしては、乱高下を繰り返しながらも長期的には上がっていくだろうというものです。インフレなので金に限らず全体的にモノの値段が上がり、中でも生活必需品のようなものや数量が限られているもの、多くの人が価値を見出すものはとりわけ高くなっていくでしょう。
まあ、いつも言っているとおりすべては自己責任にてお願いいたします。