こんにちは。KENさんです。今回はロシアブリーフィングの記事から、「インドは原油2,000万バレルを割引価格で買い、EUが撤退したロシア市場に参入するためロシアと交渉している」という記事の紹介です。
ウクライナ紛争でNATOとロシアが争う中で、ひとりインドは漁夫の利的に戦略的な優位性を獲得しています。西側ではユーラシアの経済回廊や代替的な貿易ルートに関する報道や情報がほとんど主流メディアには載りませんが、英語の記事には当たり前に書いてあります。これを読むとインドの建設会社に投資したくなります。尤も、日本では民間人がインド株を買うことはできず、インドルピーもインドの外貨持出規制のため入手することができません。インドと関係の深い日本株としてスズキ自動車とか、SBI証券で買えるベトナム・タイ・マレーシア・インドネシア株のうちインドにも関係するようなものを買うくらいしかできないでしょう。
とはいえ、ユーラシアでどういう動きがあるのかを知るだけでも今後の投資戦略がいろいろと変わってくるはずですので、とりあえず以下に記事の翻訳を載せます。今回は適宜解説を挟んでいます。最後に動画もあります。
インドは原油2,000万バレルを割引価格で買い、EUが撤退したロシア市場に参入するためにロシアと交渉している_2022年5月2日/ロシアブリーフィング
ウクライナ紛争がますますアジアからはヨーロッパの問題だと見なされるにつれ、ロシア・インド間貿易の紐帯は強くなっている
インドとロシアは、ロスネフチから約2,000万バレルの原油をかなり割り引いた価格で取引するように交渉するさなか、代替的な決済メカニズムについて話し合っている。
インドにおけるエネルギー需要は、熱波の影響と冷却装置の必要性からきわめて大きくなっている。3月のエネルギー消費量は2月に比べて8.9%増加し、4月8日には前例のない199.58GWに到達した。この使用量の記録は今後も伸びていくであろうことが予想されている。インドはウクライナに関するヨーロッパの問題に関して無視を決め込んできており、よりいっそうインドがもたらしたものではないヨーロッパ自身の問題であるとみなすようになってきている。インドのエネルギー省は、西側の対ロシア制裁がインドに影響を与えるとしても、印露の経済関係を安定させることが同省の目的であると以前から述べてきた。
同省のスポークスパーソンであるアリンダム・バグチは以下のように述べた。「我々の目的は現在の文脈の中でロシアと行っている経済取引や協力関係をいかにして維持するかどうかを考えるということだ。西側の制裁がインドに影響を与える可能性があり、そのために我々は省庁をまたいで議論や会話を重ね、ロシアとの経済取引を維持し我々自身の利益が影響を被ることがないようにしている」。
西側のアジアに対する対ロシアの行動要求は、状況がアジアの国々によって作られたものではないため問題であると示されつつある。そしてアジア諸国のエネルギー戦略は長いことロシアを含んできた。たとえばインドは北極のロシア領の天然ガスを輸入している。ロシアの米国およびEUとの継続的なエネルギー取引のために、ロスネフチは制裁の対象にならない取引媒体や貿易企業をいくつか有しており、その中にはインド企業と適法な制裁対象外の供給交渉を行っているものも含まれている。
インドはまた、ウラジオストクおよびインド西部のグジャラートにおける、次世代の原油・天然ガスタンカーの設計および建造を行う船舶建造事業の可能性についても関心を示している。モディ首相は2001年から2014年までグジャラートの州知事であり、北極輸送のみならず、国際南北輸送回廊(INSTC)経由の要求にも応える造船所を同州に持つことに高い関心を持っていた。INSTCはスエズ運河の代替手段であり、ムンバイからイランに向かい、イランからマルチモーダルでカスピ海の港湾や中央アジア・コーカサスからヨーロッパまで走る沿海ルートである。この「南部」のルートは、EUからアジアへロシアを経由することなく商品を運搬することを可能にし、ますます評判となっている。インドはまた、ウラジオストク・チェンナイ沿岸回廊も建設しており、これをムンバイまで拡張し、北海航路に加え、北極ロシアのヤマルからの液化天然ガスをインドおよび東南アジアに供給するインド洋運送航路に関してもロシアと協力している。
(訳注:国際南北輸送回廊(INSTC:International North-South Transportation Corridor)は、スエズ運河を通る旧来のルートに代わる輸送ルートで、下記の地図の赤い線で示されたルートです)

翻訳続き:
インドはまた、ロシアからの有機肥料の輸入にも興味を示している。ロシア・ウクライナはいずれも小麦の主要な輸出国であるが、ウクライナ紛争によって生じたグローバルな小麦のサプライチェーンの寸断を受けて、ニューデリーがインドを小麦・穀物輸出国として発展させるという意図を表明しているということを考えると注目に値する動きである。インドは2022年中に、政府によって承認された研究所が輸出品質をテストし、追加の輸送車両を利用可能にし、小麦輸出を優先するように港湾当局と協力するための措置を発表している。インドは国内および国際価格の急上昇による余剰のストックというアドバンテージを持っている。これまで、同機関は順調に進んでいるようである。インドの小麦輸出は2021年に612万トンに急上昇し、前年のわずか112万トンから大幅に増加した。2022年の目標は収穫期の6−7月以降には1,000万トンといわれている。
インドのエネルギー信用力を確保することに関する戦略には、中国のような他のアジア諸国と同様、露ロスネフチからかなり割り引いた価格によってロシア産原油を買うということが含まれている。ロスネフチはインドで2番目に大きな製油所(訳注:ナヤラ)も運営している。インドはまた、ヨーロッパの会社がロシアから撤退することによって生じた真空を埋めることにも意欲的であり、ロシアとの貿易を年間20億ドル規模で増加させようとしている。デリーはユーラシア経済連合とも自由貿易協定を協議しており、ウクライナの紛争が解決するにつれさらに交渉が進展することが期待されている。
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翻訳はここまでです。
どうにかしてインドに日本から投資できないかということで、投資信託を少し検索してみるとイーストスプリング・インド株式オープンとかのインド株関連は少しあるようです。

チャートを見ると、コロナの直後は下げて10,000円くらいですが直近では21,000円を超えています。まあ、アホみたいにバランスシートを膨らませたFRBの米国株に投資していたほうが期間のリターンは高いのかもしれませんが、もっと長期で見れば伸びていくのはユーラシアだろうと思います。
動画もどうぞ: